僕のセッションにおいて、心身の向上や精神的治療のためにローカーボ療法という食事療法をお勧めすることがあります。
これは、僕自身が実際に長年継続してきて大変素晴らしい結果を実感しているので、多くの方にお薦めしている療法です。
簡単に言えば「炭水化物を始めとする糖質類を食事から排除する方法」なのです。
しかし、ローカーボ療法は、ダイエット法として普及しつつありますが、健康、治病としての認識は、既存の医学、代替療法共に理解は薄く、多くの誤解や反対に晒されているのが現状です。
なので、ローカーボを説明した際によくもらう、反論や質問に対しての答えを述べていきます。
高血圧について
Q. 「肉や魚を調理する際に、どうしても塩の使用量が増えるから血圧が心配なんですが。」
A. 高血圧の原因は、塩ではないんです。 実際、日本人の塩の摂取量は、毎年、順調に減って来ている。 それなのに、高血圧は変わらず増えている。 これだけで、「高血圧塩原因説」は揺らぎますよね。
では、原因はなのか。 実は、最も身近な食事である「炭水化物」なんです。
それを摂取すると、大量のインスリンが出ます。 それに因り、「インスリン抵抗性」という状態が生まれ、腎臓の塩を排泄するレセプターが機能しなくなります。 そのため、塩を体外へ排泄することが出来なくなる。
結果、塩が蓄積して高血圧になってしまうんです。
確かに、塩は深く関係しているのですが、炭水化物を摂らなければどんなに塩を摂取したとしても、不要な分は全て出ていく。
だから、高血圧になりようがないのです。
逆に、腎の排泄がしっかりしていなければ、微力であっても影響が出てしまう。 だから、減塩は意味がないのです。
でも、今の医療は、
- 塩を減らして
- ご飯をたべさせ
- 降圧剤を飲ませ
- 一生のお付き合いが始まる
ということを繰り返しているのです。
少し横道に逸れましたが、以上の仕組みに因り、ローカーボでは高血圧になりようがないのです。
酵素について
Q. 「肉を食べると、体内の酵素が減ってしまわないのですか。」
A. 数年前から、あちこちで酵素摂取の重要性が説かれるようになりました。 「酵素食品を沢山摂って、健康に長生きしましょう。そのためには、加熱調理していない野菜や果物、発酵食品、酵素ドリンク等がお薦めです。動物性は消化に負荷が掛かるため、酵素を多く使ってしまうため、なるべく食べるのを控えましょう。」
でも、実際はそうではないんです。
何故か。
- 殆どの酵素は胃の中で分解されてアミノ酸に変わってしまう。
- アミノ酸が酵素を作るので、タンパク質が必要となる。
確かに酵素はアミノ酸で出来ているので、分解された一部は酵素に戻りますが、全体から比べれば極々僅かなモノ。
だから、直接的に酵素を摂って体に充満させる事は出来ないのです。
食前に摂取すれば、消化酵素の代用にはなりますが、これは補充ではなく節約。
では、積極的な充足を可能とするにはどうすれば良いか。
- 何らかの形で、良質のタンパク質(アミノ酸)を大量に摂る。
- 何らかの形で、腸内の善玉菌を増やす。(善玉菌は酵素産生を可能とし、それは血中へ直接届けられる)
- 特集キレートされた(包み込む)された酵素を大量に摂る。
が挙げられます。
以上を踏まえれば、「しっかりと加熱調理をして、酵素がなくなったタンパク質たっぷりの肉」を食べることが、実は効果的な酵素摂取に繋がるのです。 しかも、肉はとても消化が良い。 事実、最短で消化されます。
だから、肉、魚、卵といった動物性を大量に摂ったとしても、酵素が減ってしまうことはないのです。
カロリーと肥満
Q. 「動物性ばかり摂ると、太ってしまいそう。」
A. 必ず返ってくる反応です。
でも現実は、真逆なのです。
では、質問。
肉(赤身)2万kcalと白米2千kcal、どちらが太ると思いますか。
答え。
白米二千kcal。
本当?
本当なんです。
しかも、前者で少しは太ると思いきや、全く体重は増えないんです。 それどころか、仮に肉だけを食べたなら3日に1kgの割合で確実に痩せていくのです。 (勿論、肉だけでなく魚介類でもそれは可能)
炭水化物が分解された糖も、肉がそうされたタンパク質も、1gは同じ4kcalなのに。 何故か。
糖は、無制限に体内の脂肪細胞へ蓄えられ、タンパク質は必要量しか取り込まれず、不要な分は全て体外へ排出されるから。
要は、細胞にエネルギーを運びこむ役割を担うインシュリンが、タンパク質には反応を示さないのです。 だから、ダイエットを成功させたい場合、気にしなければいけないのは、食事全体のカロリーではなく、炭水化物(糖)の摂取量なんです。
ワルい油である不飽和脂肪酸を排除した動物性タンパク質を無制限に食べて良いローカーボ療法は、確実なダイエット成功法になるのです。
ローカーボ療法で太ることはないのです。
糖尿病
カロリーと肥満でも書きましたが、インシュリンは、タンパク質に反応を示さないのです。 だから、糖尿病患者は、1型2型問わず炭水化物を摂らないで、山ほどの動物性タンパク質を摂取することが大切なのです。 タンパク質は、元気の要なので。(勿論、腎機能が極端に低下している人は、徐々に摂取量を増やしていくこと必要がある。)
特に2型というのは、膵臓からしっかりとインシュリンが分泌されているにも関わらず、「高血糖」ゆえに、それを取り込むレセプターが機能不全を起こしている状態。 だから、尚更に炭水化物を摂ってはいけないのです。 血糖値が上がるとレセプターが機能しなくなるのです。
炭水化物を抜く→血糖値が下がる→レセプターがインシュリンを受け取れるようになる→2型糖尿病が改善する
という流れ。
それなのに今の医療は、低カロリーに囚われ、
- 炭水化物を中心に摂らせ、
- よりインシュリンレセプターに機能不全を起こさせ
- より膵臓にインシュリン分泌を促す投薬を行い
- 膵臓を疲れさせ
- 結果、インシュリンが造れなくなり
- 一生、薬が手放せない体になってしまう
という悪循環の悲劇が起きてしまうのです。
だから、2型糖尿病改善決め手は、ワルい脂肪を取り除いた動物性タンパク質を大量に摂ることです。 (1型はローカーボでは治らない)
ローカーボに因って、高カロリーになったとしても糖尿病の心配はないのです。
脳の唯一の栄養素はブドウ糖という嘘
最ももらう質問。
Q. 「脳の栄養素ってブドウ糖でしょ。ローカーボをしたら脳が栄養不足になってしまい、頭が動かないんじゃないの?」
A. でもこれは大間違いなのです。
確かに脳の栄養素はブドウ糖に代表される糖であることは間違いないし、それがなければ頭は働かない。 でも、糖は炭水化物からしか造られないという分けではないのです。 摂取したタンパク質は、肝臓や骨格筋でグリコーゲンという糖の一種に変換されるのです。 これがブドウ糖の役割を果たすので、タンパク質をしっかりと摂ってさえいれば低血糖などのエネルギー欠乏が起こることはあり得ないのです。
しかも、この供給方法ならば必要な分しか届けられないので、糖の害は最小限に抑えられる。
ただ、
- ローカーボをやり始めて間もない。
- 胃腸の消化能力が弱っている。
- タンパク質を少量しか摂っていない
といった場合は、低血糖になってしまうので、その点には気をつける必要があります。
ローカーボ療法は、最高のアンチエイジング食
ローカーボ療法は、もしかしたら最高のアンチエイジング食事療法かもしれないのです。
何故か。 「活性酸素を産まない食事療法だから。」(本当に活性酸素が存在するなら) 活性酸素は、もうお馴染みですね。 体内の細胞を傷付け老化や病気を促進さえてしまうというモノ。
活性酸素を大量発生させてしまう因子は色々とあるのだけど、余り知られていない主要因に「炭水化物摂取」が挙げられます。
それを摂るとブドウ糖に分解されて、各細胞に存在するミトコンドリアへ取り込まれ、ATPというエネルギーを産生する。
だけど、それと同時に「超大量」の活性酸素を発生させてしまうのです。
猿に低カロリー食を与え続けた場合、老化進行が極めて緩やかなモノになったという有名な実験が ありますね。
あれは正確に言えば、炭水化物=糖の摂取を減らした、 ということ。
だから、低カロリーではなく高カロリーであっても炭水化物を抜きさえすれば、それは実現できるのです。 むしろ低カロリー食は、栄養不足になり易いし、特に長寿や健康の要である動物性タンパク質を欠乏させ易いから危険なのです。 おまけに多くの人が、空腹に耐えられずに挫折しているので。
ローカーボなら、満腹になるまで食べられるし、タンパク質、ヴィタミン、ミネラル、良質な油を沢山摂ることが出来ます。(これは先述の通り、体はタンパク質しか必要な分しか受け付けず、不要な分は全て排出される。しかも、直接的にATP産生には関わらない。)
より効果的なアンチエイジング食事療法が可能となります。 ローカーボ療法には、以上のような出来過ぎた利点もあるのです。
卵でコレステロールは下がる! 動脈硬化の真犯人
Q. 「卵を無制限に食べて良いなんて、コレステロールが上がってしまいませんか。」
これもよく頂く質問。
A. 実は適性な範囲まで、どんどんと下がるのです。 何故か。 肉食動物は、コレステロールを大量に与えても、一回の食事から小腸が吸収出来る量は決まっており、人間のそれの仕組みは肉食動物そのものだからです。 しかも、卵コレステロール悪玉説は、滅茶苦茶な実験結果から拡まったのです。
1913年にロシアの医者アニスコフが、ウサギに大量のコレステロールを含む餌を大量に食べさせたところ、大動脈にコレステロールが沈着して動脈硬化が発症したというのが始まり。
でもその後、草食動物のウサギがコレステロールを消化吸収する仕組みは、「ヒト」とは全く違っており、人間のモデルとは成り得ないことが分かったのです。
実際、肉食動物である犬や猫で同じ実験を行ったのですが、一切、動脈硬化は発症しなかったのです。 先述の通り、人間の腸は肉食動物そのものだから、コレステロールで動脈硬化になりようがないのです。
では、何故にそれが起こるのか。
「細菌感染に因り動脈硬化が炎症を起こしてしまうから」なのです。
確かに、動脈硬化は血管壁にコレステロールが沈着することで動脈硬化が進行するのは間違いのない事実。
でも、脳梗塞や心筋梗塞を起こす場合、血管の一部が狭くなり、そこに血栓が詰まって血流が途絶えるわけで、血管全体が狭くなるわけではないのです。 コレステロールが一部の血管壁に大量に沈着するのは、そこが傷つくなどして修復する必要がある場合です。 その傷を発生させるのは、細菌の可能性が極めて高いのです。
実際、動脈硬化に因り、心筋梗塞を起こした人の血液中には、CRPというタンパク質が異常に増えているからです。 CRPというのは、細菌感染に因って産生されるC反応性タンパクのことで、細胞組織学的な研究では、 動脈硬化の起こっている箇所にCRPが大量に集まっていることも分かっています。
つまり、血管内壁に付いた細菌類が、壁を食い荒らして傷つけてしまい、それを修復しようとしてコレステロールも同時に沈着して、動脈硬化が促進されてしまうとのです。(他にも血管壁を傷付ける要因はあるのだけど、これが大半) 実際、血管壁というのは、ツルツルしているから、傷が無ければ、どんなに血中にコレステロールが溢れかえっていようと沈着はあり得ないのです。 血管壁を食い荒らす細菌の正体は、特定されていないそうですが、(間違っていたらご指摘を)はっきりとしているのは、細菌類はガン細胞と同じように糖を餌に繁殖するということ。
糖があり余っている糖尿病の人が、動脈硬化になり易いという理屈も十分納得が出来ます。
最初の話しに戻りますが、動脈硬化=卵コレステロール説というのは、滅茶苦茶なんです。
日本人の腸は肉食向き
「動物性タンパク質を山ほど摂ったほうがいい」と説明すれば、必ず「日本人は欧米人に比べて、腸が長いじゃないですか。だから、草食に向いているはず。」と反論を受けます。
でもこれも間違いなのです。
肉食動物と草食動物の違いは、腸の長さにあるのです。 肉食動物は身長の4〜5倍に対して、草食動物は10〜15倍という長さなのです。 このくらい長くないと、草や野菜から栄養を吸収出来ない。 (それを踏まえれば、野菜は消化に良いなんて間違いです。実際、慢性胃炎で苦しんでいる人に、ローカーボをやってもらうと劇的に楽になっています。)
日本人の腸は、確かに欧米人に比べて長いのは事実。 でもそれは誤差の範囲。
草食動物と比べて、長いか短いかを計らないといけないのです。
ローカーボが自己肯定感を高めてくれる理由
人の心は、掴みどころのない思いや潜在意識だけで創られているのではなく、ホルモンと言われる神経伝達物質やそれを受け取るレセプター、血流などの物理的な要因でも大きく決まっていきます。
例えば、自己肯定感が高い、積極的、前向きの人というのは、もうお馴染みになっているセロトニンやドーパミンの放出量が多かったり、そのレセプターの受け取りが優れていたりすることが多いのです。 逆に、不安感が強い、消極的、クヨクヨし易いといった人は、その反対の状態であることが考えられるのです。 特に自閉症やADHDやアスペルガーといった発達障害者は、より深刻な機能低下を起こしています。
そのセロトニンとローカーボはどう関係があるのか。
ご飯を食べると眠く怠くなる理由を、世間一般では「胃の内容物を消化するために、脳の血液も胃に降りてくるから」としています。 でも、これは間違いなのです。 こんなことが本当に起こっていたら、食事の度に毎回、重篤な意識混濁を起こしてしまいます。
正しくは、胃の炭水化物がブドウ糖に分解され小腸から吸収されて、血糖値が上がり、セロトニンの出が極端の落ちてしまったためなのです。
それに因り、余り知られていないセロトニンが持つ、心の安定させる働き以外の
- 抗重力筋を活性化させる (姿勢を支える上で必要な筋肉)
- 覚醒作用をもたらす (日中、眠くならずに起きていられること)
- ドーパミン前駆物質(ドーパミンの原料といった意味)
が機能しなくなるのです。
例えば、覚醒について。
自分達が日中起きているためには、夜しっかりと睡眠を取っただけでは不十分なのです。 覚醒に関係しているホルモンが、しっかりと機能していることが条件となって来るのです。
多くの人が「花粉症薬を飲むと眠くなる」という経験をしていると思います。 それは、痒みを引き起こす要因でありながら、覚醒作用も司るヒスタミンの動きが鈍ってしまうからです。 仮に10時間、熟睡出来たとしてもそれが働いていなければ、日中は強烈な眠気に襲われてしまうのです。 セロトニンには、ヒスタミンと同等の覚醒作用があります。 そのため、炭水化物を摂り血糖値が上がるとそれの放出量が減り、覚醒作用がなくなり眠くなってしまうのです。
このセロトニン減少は、通常であれば2〜4時間で回復します。 でも、自己肯定感の低い人、あるいは発達障害者などは、ただでさえ放出量が少ないにも関わらず、回復まで8〜10時間掛かってしまうのです。
その間は情緒が不安定になり、劣等感が強い状態となります。 ようやく回復して来たかな、というところで丁度お腹がすく頃になるのでご飯を食べる。 そしてまた、8〜10時間はセロトニンが出なくなり、自分を嫌いになり易くなる。 回復して来たところに、またご飯を食べる、といった悪循環が起きてしまうのです。
しかもワルイことにそういった生活を続けていると、ただでさえ機能低下を起こしているセロトニンシステムがより働かなくなり、情緒が一層不安定になり自己肯定感も更に下がってしまうのです。
だから、そういった問題を抱えている人は、可能な限り炭水化物や糖を食事中から抜いていく必要があるのです。 そうすると、必然的にローカーボ食となります。 しかも大量のタンパク質を摂ると、セロトニンシステムが活性化します。 それに因り、安心感と自己肯定感が高まります。 更には、基礎代謝が上がるので前頭葉の血流が増え、扁桃核からCRFという恐怖を司るホルモンの出が減ります。
恐怖=自信のなさ=自分が嫌い
恐怖の減少=自信の増幅=自分が好きになる
高度な自己肯定感を創るには、ローカーボ療法は必須なのです。